蕁麻疹(じんましん)
○蕁麻疹(じんましん)のおこる仕組み
じんましんは、塗り薬はほとんど効果がなく飲み薬での治療が主体となります。それは皮膚の表面ではなく奥のほうで異変が起きることにより生じる病気のためです。
何らかの刺激(アレルゲンや物理的な刺激)が加わることにより皮膚の真皮の部分に存在するマスト細胞(肥満細胞)が活性化されます。すると細胞内からヒスタミンなどが分泌されます。これが血管を拡張させるとともに、血管から血漿成分が真皮へ漏れ出して、皮膚の発疹(膨疹)を引き起こします。放出されたヒスタミンが体内で代謝されると、一連の反応もおちついて、膨疹は痕もなく消えてなくなります。
○蕁麻疹(じんましん)の原因
じんましんは何らかの原因があっておこる病気ですが、約70~80%は原因不明です。わかっている原因は様々で、身近な原因であったり、珍しい原因であったり、たった一つの原因であったり、いくつかの種類の原因が組み合わさって起こったりもします。血液検査などでアレルゲンの検索をすることもできますが、必ずしも原因を特定できないことも多くみられます。
原因の一例
・病巣感染アレルギー
・風邪などの感染症
・虫歯など
・食物アレルギー(肉・魚介類・卵・牛乳・小麦など)
・薬物アレルギー
・ダニ・ほこり・カビなどのアレルゲン
・エビ・卵などの原因物質に触れるなど
・アニサキスなどの寄生虫に対するアレルギー
・ストレス
・肝臓・胆嚢・膵臓などの内臓の炎症
・ひっかく・皮膚の圧迫
・温度(温熱・寒冷)
・日光
・薬(アスピリン)不耐症
・仮性アレルギーなど
○自分の原因を特定するために:どんな時に出現するかをメモしよう!
・じんましんが出るのはいつが多いか(夏が多い、冬が多い)
・どのような症状だったか(出た場所や範囲、膨疹やかゆみの程度など)
・発症直前や発症時には何をしていたか(運動、掃除、食事、入浴など)
・発症3時間以内にどんなものを食べたか、薬は飲んでいたか
・温熱、寒冷、日光などの刺激を受けると出やすいことはないか
・何かに接触したということはないか
・発汗時やひっかくと出やすいということはないか
・出現時の体の調子(疲れていた、風邪をひいていた、緊張していた)
・そのほか、生活上の変化(転職、引っ越しなど変わったことはないか)
○蕁麻疹(じんましん)の治療:治療の主体は飲み薬
じんましんは、真皮のマスト細胞から放出されるヒスタミンなどの物質によって症状が引き起こされるので、抗ヒスタミン剤の内服によって不快な症状を抑えるのが重要です。最近では眠気の少ない薬などもありじんましん治療の主体となっています。ほかにもH2拮抗薬(ガスターなど)、抗ロイコトリエン薬(IPDなど)、ステロイド内服治療なども使用することがあります。薬の効き方には個人差がありますが、効果が見られない場合はほかの薬に変更したり、増量したり、他剤を併用するなどの工夫でほとんどの患者さんに効果を発揮します。
①治療が早ければ早いほど治癒の可能性も高くなる
じんましんは、発症してから早いうちに治療を開始した人ほど、治癒の可能性が高くなることがわかっています。
早めに皮膚科に相談することがじんましん治療の大きなカギとなります。
②症状が治まっても内服治療を継続する
じんましんを治療するうえで「症状が消えた=治癒」ではないことも重要です。そこで薬の内服をやめてしまうと、ほとんどの方が再発しています。
③病院に見てもらったほうがいいのはどんな状態?:「日常生活に支障をきたしているかどうか」がカギとなります
○自分でできる蕁麻疹(じんましん)の対策
①疲労やストレスをできるだけ避ける
②睡眠をしっかりとって規則正しく生活する
③香辛料などの刺激の強い食べ物を避ける
④お酒の飲みすぎに注意する
⑤保存料、着色料などの食品添加物を極力避ける
⑥新鮮でない魚などを避ける
⑦症状が出ても掻いたりしない
⑧冷やすことでかゆみを抑える(寒冷じんましんはNG)
⑨熱いお風呂や長湯を避ける
⑩塗り薬でなく飲み薬で治す