ダニアレルギーに対する舌下免疫療法(ミティキュア)

1. 舌下免疫療法とは
減感作療法ともよばれ、アレルギーーの原因となる「アレルゲン」を少量ずつ投与することで、からだをアレルゲンに慣らし、アレルギーを和らげる治療法です。アレルギー症状のある方の中で、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などに対してこの治療法が行われています。
この治療法は、100年以上も前から行われている治療法です。アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていますが、近年では舌下に投与する「舌下免疫療法」も行われています。

2. 皮下免疫療法と舌下免疫療法の違い
皮下免疫療法は、医療機関での投与が必要です。注射の痛みがあり、治療開始初期は頻回に通院が必要となります。
舌下免疫療法は、舌下への治療薬の投与のため注射の痛みがなく、自宅での服用が可能ですが、皮下注射と比べて、治療に対してのより深い患者さんの理解が必要になります。

3. ミティキュアとはなんですか?
ミティキュアは、ダニを原料とするエキスから作られたお薬で、少量から服用することによって体を慣らし、ダニによるアレルギー性鼻炎の症状を和らげます。服用開始前に、ダニによるアレルギー性鼻炎の確定診断が必要です。
また、アレルギー症状の有無にかかわらず、毎日、長期間にわたり継続して服用する必要があります。。


4. どのように治療する?
ダニを原料とするエキスを抽出した薬剤を舌の下におきます。1分間そのまま保持してから飲み込みます。
初回から1週間は2,000JAU錠を、2週目以降は5,000IAU錠を毎日舌下投与します。初回の舌下投与のみ医療機関で行い異変がないか確認します。
その後は、毎日ご自身での服用となります。

 


5. 治療開始時期について
ダニアレルギーは通年性ですので、治療開始時期はいつでも構いません。

6. 副作用について
薬剤服用直後に強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こす可能性がありますが、これまでの国内外での実績からきわめて稀であり、一般的に服用される薬剤と同程度の安全性とも言われています。
軽い副作用(副反応とよびます)はあるため、治療については、ご自身にもよく理解していただく必要がありますが、医師の指示に沿って服用いただければ、安全な治療と言えます。

7. 治療の流れ
基本的な流れで行う場合、初回の診察~血液検査を行います。1~2週間後に2回目の診察を行い、検査結果などに基づき医師が治療可能と判断した場合、初回の投与を行います。投与後30分以上は、院内待合室で安静にしていただき血圧等のバイタルチェックを行います。特に問題が無ければ、そこで14日目までの処方を行います。2週間後に再度受診いただき、治療継続可能と医師が判断した場合、その後は1ヶ月に1度の診察となります。

8. 治療の対象となる方
当院では、採血検査で診断を行います。ダニアレルギーの確定診断があっても以下の場合などは、治療できません。
妊娠されている、近いうちに妊娠希望の場合、重症喘息の場合、癌の治療をしている場合、重篤な心臓の病気がある場合、免疫不全/免疫抑制剤を服用されている場合、その他医師が治療継困難と判断した場合。
 (高齢者の方も治療可能ですが、治療の効果がやや低いと言われています。)

9. 他の治療とどう違うか
舌下免疫療法の大きな違いは、事前に治療を開始してダニアレルギーの症状が出ないように予防するという点です。よく使われる飲み薬は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状を改善させるものです。

10. 事前に効果があるか分かりますか
残念ながら、今のところ事前に舌下免疫療法の効果があるかないかの判断はできません。約8割の方に効果がある反面、2割の方には効果が少ない、効果が出ないというデータがあります。

11. 他の花粉症の薬との併用はできますか
免疫舌下療法の治療をしていても、他の花粉症のお薬は使用可能です。他のお薬の量を少なくする事は一つの目的でもあります。花粉症の症状に応じて我慢せずに担当医師に相談して下さい。

12. 治療期間は
長期間の継続治療が必要となります。まず、約2年ほど治療を継続して効果を確認する必要があります。その間で効果が出た患者さんには、計4~5年の治療が勧められています。

13. 舌下免疫療法はずっと続けなければならないのですか?
3~5年治療を行えば、治療を中断しても効果が持続すると考えられています。治療をやめて、1~2年後に症状が出てきた場合は、あらためて舌下免疫療法を行うと、効果が元に戻るといわれています。

16. 治療にかかる費用について
初回の診察・検査(スギのみ)等で5,000円程度(3割負担)の窓口負担となります。免疫舌下療法のみでの治療の場合、クリニックと薬局を合わせ約2,500円(3割負担)/月の窓口負担となります。

〇服用に際して重要なこと
① なめずに舌下で1分間薬剤を保持する。薬剤摂取後5分はうがい、飲食禁止。
② 副作用を防ぐため本剤を服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などを避けましょう。
③ 治療は3~5年の継続が必要です。(3割以上の方が1年間で効果を感じられることが多いといわれています。)
④ 投与開始1か月前後は口腔内のしびれなどの副作用が多いので注意。

〇初回投与時の注意点
初回投与は当院にて投与し、30分重篤な副作用がないか経過観察させていただきます。そのため、診療終了前1時間前までにお越しください。